フィンランド買い付け紀行。今の日本の部屋にぴったりな北欧生地を探して
北欧ファブリックへの憧れ、そして現地へ
日頃お客様にインテリアのご提案をする中で感じることですが、北欧インテリアはとても多くの方に支持されています。それは、日本の伝統的な空間や若い人たちが好む日本的モダン空間は、北欧の空間と多くの共通点があるからです。
空間を構成するアイテムの中で、家具とファブリックに魅せられて、今回フィンランドへと足を運びました。
実際に現地のお店を訪れ、本場の空気を感じながら生地を選ぶ。それは、カタログやオンラインショップでは決して得られない、特別な体験でした。
北欧ファブリックといえば、マリメッコ
北欧の生地と聞いて、多くの方が真っ先に思い浮かべるのは「マリメッコ」ではないでしょうか。



マリメッコは、鮮やかな色彩と大胆なデザインで世界中を魅了してきたフィンランドを代表するブランドです。特にウニッコ(Unikko)と呼ばれる大きなポピーの花柄は、北欧デザインの象徴として日本でも広く知られています。
マリメッコの功績は計り知れません。北欧ファブリックというカテゴリーを日本の市場に広げ、多くの人々に「布一枚で空間が変わる」という喜びを伝えてくれました。その存在があったからこそ、私たちは北欧のライフスタイルに触れることができたのです。
しかし、実は今こんなお悩みも…
ところが、実際にインテリアコーディネートの現場で年間70件以上のお客様と向き合う中で、最近ある傾向に気づきました。
日本のインテリアのトレンドは、ここ数年で大きく変化しています。グレー、ベージュ、グレージュ、くすみピンク…全体的に淡い色使いの空間を好まれる方が増えてきました。とても素敵な配色です。
でも、そこにひとつ課題が生まれています。
「北欧のテイストを取り入れたいけれど、マリメッコの生地を買ったものの、どこに飾ればいいか分からない」
「せっかく購入したファブリックが、なんだか部屋の中で浮いてしまう」
こうした声を、実際に何度も耳にしてきました。
マリメッコの魅力的な原色や鮮やかな色調は、確かに力強く、空間のアクセントとして素晴らしい効果を発揮します。しかし、淡い色をベースにした現代の日本のインテリアに取り入れようとすると、思いのほか難しい…そんなジレンマを抱えている方が少なくないのです。
フィンランドの街で見つけた、もうひとつの選択肢
フィンランドでは、マリメッコの店舗ももちろん訪れました。豊富な品揃えに胸が高鳴りました。日本でもよく見かける定番の柄から、少し色使いが異なるものまで。やはりマリメッコは素晴らしい。


しかし、私が今回特に心を奪われたのは、別のブランドでした。
それが「Kauniste(カウニステ)」です。

カウニステは、2008年にヘルシンキで創設された比較的新しいテキスタイルブランドです。マリメッコほどの知名度はまだありませんが、フィンランド国内では確実にファンを増やしている注目のブランドです。
店内に足を踏み入れた瞬間、私は「これだ」と感じました。
色調がやさしくて、見ているだけで心がほぐれるような、、
そんな空気をまとっているんです。
実際に店内を見て、パンジーの花をモチーフにしたこの柄を見た瞬間、
「このやさしさを日本の空間に持ち帰りたい」と思い、1.5メートルだけ買い付けました。
そして帰国後、どんな風に空間に溶け込むかを試してみたくて、
ベージュのソファの上に軽く掛けてみることにしました。

控えめだけれど、確かに存在感がある色使い
カウニステのデザインには、マリメッコとは異なる魅力があります。
くすみブルー、グレージュ、ソフトなグリーンといった、落ち着いた色調です。派手ではないけれど、決して地味でもない。静かに、でも確実に空間を彩る―そんな「静かな明るさ」がカウニステにはあります。
今の日本のインテリアに求められている北欧らしさではないでしょうか。
現地で感じた、フィンランドの街の空気
フィンランドの街を歩いていると、建物のファサードの美しさに何度も足を止めました。



ヨーロッパでは、玄関のドアを家の顔として大切にする文化があります。それぞれの家が個性を持ち、でも街全体としては調和している。その感覚は、インテリアにも通じるものがありました。
インパクトはあっても、調和し、でも個性を失わない。
カウニステのデザイン哲学は、まさにこのフィンランドの街そのものだと感じました。
私が選んだ北欧アイテム
フィンランドにはマリメッコやカウニステだけではなく、他にも素晴らしいテキスタイルブランドがたくさんあります。
例えば:
- フィンレイソン(Finlayson):1820年創業の老舗テキスタイルメーカー
- ラプアン・カンクリ(Lapuan Kankurit):リネン製品で有名
それぞれに個性があり、それぞれに魅力があります。今回フィンランドから持ち帰ってきたのは、以下のアイテムです。

パンジー柄の布地
カウニステのこの生地は、1.5Mx1.5M。クッションにしてもいいですし、大判のインテリアパネルにしてもいい。最近の傾向の淡い色使いのインテリアになじみつつ、インパクトもある素敵な空間になること間違いなしです。

草花柄のベットカバー&マクラカバー
フィンレイソンのベットリネン。淡いピンクとグリーンの配色がベッドルーム全体を優しく包み込んでくれます。大きな柄ですが、色調が穏やかなので主張しすぎません。
これなら、ベージュやグレーをベースにした寝室にも、すんなりと馴染んでくれます。


パンダ柄のキッチンアイテム
私はこのパンダ柄を見た瞬間、思わず手に取りました。
お鍋を運ぶ、お皿を洗う、コーヒーを淹れる―そんな何気ない日常の動作の中で、ふとパンダの顔が目に入る。それだけで、ちょっとくすっと笑えて、楽しい気持ちになれそうだと思ったのです。
キッチンは、実は冒険しやすい場所でもあります。リビングやベッドルームとは違い、もともと様々な色や素材が混在する空間。だからこそ、少しポップなアイテムを取り入れても、意外とすんなり馴染んでくれます。
柄に見えじつはパンダ。フィンレイソンならではのアニマルデザインです。

猫柄のアイテム
実は私、大の猫好きなんです。だから猫柄のアイテムも大好き。
ついつい動物柄があると、猫を手に取ってしまうのは、もう職業病のようなものかもしれません(笑)。でも、ただ可愛いだけではなく、このデザイン性の高さが、プロとして自信を持っておすすめできる理由です。
これはヘルシンキから海をわたり、エストニアのタリン市で購入したアイテム。北欧リネンは動物が多い気がします。

現地に足を運んだからこそ、比較して、悩んで、そして確信を持って選ぶことができた。この経験は、何物にも代えがたいものでした。
次回:実際のインテリア提案をお見せします
今回買い付けてきたこのカウニステの生地を、実際にどのようにインテリアに取り入れるのか。
次回の記事では、具体的なインテリア提案シートをお見せしながら、「淡い色をベースにした空間に、どうやって北欧のエッセンスを加えるのか」をご紹介します。
ビフォーアフターの写真もご用意していますので、ぜひご覧ください。
→次の記事:「カウニステの生地で作る、北欧インテリア提案シート」
こうした北欧インテリアがお好きな方、ご自宅に取り入れてみたいとお考えの方に向けて、インテリア提案シートを作成しております。
あなたのお部屋に合わせた、あなただけのインテリアコーディネートを、ぜひご一緒に考えさせてください。
詳しくは次回の記事でご案内いたします。