フィンランドデザイン探訪―①ヘルシンキ デザインミュージアム
ヘルシンキの中心部にあるDesign Museumと建築博物館は、フィンランドの暮らしを彩ってきたデザインの歴史と革新が凝縮された場所。インテリアコーディネーターとして、長年憧れてきた北欧デザインの根底に触れるため、足を運びました。
デザインミュージアム 入口
1880年代に建てられたアール・ヌーヴォー様式の建物に足を踏み入れると、まず天井の装飾とアーチの美しさに心を奪われます。赤レンガと柔らかな色彩の組み合わせが、まるで時を遡ったかのような趣を漂わせていました。

1.展示紹介
館内には、フィンランドデザインの歩みを時代ごとに辿る展示が並びます。椅子や食器、照明など、日常生活を彩るデザインがどのように生まれたのかを、豊富な資料や実物で紹介。特に印象的だったのは、展示方法へのこだわり。




ガラス作品の後ろにラベルを映り込ませることで、影と文字が一体となる演出は、光と影をもデザインの一部に取り込んでいました。



カイ・フランクやグンネル・ニューマンなど、北欧デザインを代表する作家たちの作品も間近に鑑賞できます。透明感と色彩の調和が生み出すグラスウェアは、シンプルでありながら温かみを感じさせ、見ているだけで日々の暮らしが少し豊かになるような気持ちにさせてくれます。
「HYVINVOINTI(福祉)」「GLOBALISAATIO(グローバリゼーション)」「TULEVAISUUS(未来)」…それぞれが展示品とリンクし、時代ごとのフィンランドデザインの役割を視覚で物語っていました。自転車、照明、椅子、食器といった日用品が、まるでアート作品のように配置され、日常の延長線上にある美しさと機能性を感じさせます。
2.展示紹介
次階への期待感を誘うクラシカルな建物の中のリズム

吹き抜けのちょっとした空間も北欧モダン家具と幾何学的なデザインのアイアン格子、水彩画のような装飾の空間バランスに心惹かれます。
北欧モダン家具はスタッキングや大量生産などが重視され、学校や公共施設に多く採用されています。
なかでも、IImari Tapiovaara (イルマリ・タピオヴォーラ)のDomus Chair などが有名ですが、
この椅子は、なんでしょうか・・・
3.展示紹介
2階の特設会場はMaija Lavonen(マイヤ・ラヴォネン)の後期の作品
ライト、透明素材、光ファイバーや金属糸などの非伝統的な繊維素材を組み合わせた作品。
古典建築を一掃し異空間へ変えてしまうような展示です。
美しい違和感
共通点は「シンプルな美しさ」
それにゆえに、静かに暮らしに溶け込む優しさを感じます。
次は隣の建築博物館へ