曽爾村のフォカッチャ工房

曽爾村に、イタリアの香りと高級感を
― 焼きたてフォカッチャが映える、見せる工房-
奈良のイタリアン‘NAKAMURAYA‘さんのフォカッチャ工房・曽爾村の古民家をフルリフォームをさせていただきました。
工房部分はもともと小屋だった部分で、母屋と渡り廊下でつながっていたため、小屋は躯体だけ残してフルリフォーム。母屋は、間取りは変更せずに、フローリングやキッチンやトイレ、畳の入れ替えなど、リフォームを行いました。フォカッチャづくりを行うスタッフの方が泊まることも可能です。今回外観には手を加えていません。

After

Before
リノベーションのご提案内容と全体イメージ


「工房でフォカッチャを焼いて通販で売りたい」というお話を中村さんから伺い、インスタ映えするような高級感のある内装をイメージをご提案。商品写真を撮影することを考えると、フォカッチャをどこで焼いているかというのは重要です。「高級なチョコレートをマダムが買いに来るようなイメージで、お客様に高級感を感じていただけるように、こだわったご提案をさせていただきます」と中村さんにお伝えしました。
曽爾村でイタリアを感じる工房に
曽爾村という場所ではあっても、「薪と石窯で焼く田舎のフォカッチャ」ではなく、「曽爾村でイタリアを感じるフォカッチャ」というおしゃれなイメージを目指しました。
また、古民家というのは閉そく感を感じるところがありますが、この工房は入って開放感を感じるゾーニングをプランしています。
大きな室内窓と開放感あふれるゾーニング

工房に素晴らしい厨房機器が入っているので、それを生かしたいと考えました。「ここでフォカッチャを焼いている」というグランドを感じてもらえるように、厨房を見せています。
レイアウトのお打ち合わせでは、一番にこの室内窓をご提案しました。窓の奥に焼き立てのフォカッチャが並んでいる様子が、入口から見えるのを想像するとうれしくなりますね。
大きな室内窓の格子部分はゴールドを提案

これまでこういった格子の部分は黒のアイアンが多く、見飽きている方もいると思います。そこで、「ゴールドを使いましょう」とご提案しました。この窓は特注。厨房の什器の高さと窓枠の面を合わせたところもこだわりです。ビス穴が表に見えないように、接合もきれいに見えるように制作していただくため、アイアン工房への詳細図面も作成しています。
「Focacceria Soni」の看板へのこだわり
ブランディング担当者から看板のロゴが上がっていきたときは、バックの色が黒でした。ここはゆずれない部分でしたので、「当初のご提案どおり、文字はゴールド、バックには赤を使わせていただけないでしょうか」と中村さんにお話ししたところ、快くご了承いただけました。
看板は「火」のイメージ


微妙な色合いで文字のゴールドに合うものを選んでいます。「赤の色合いも森に馴染んでいる」と中村様にも喜んでいただけました。
看板周りはエイジング塗装の外壁を採用。現場で細かく職人さんに指示をして、エイジングを調整したこだわりの外壁です。職人さんも快く作業してくださったので、とても感謝しています。
照明の「赤」は、工房の「火」のイメージ

工房で火を使うイメージから、窓際の照明は赤を採用しました。
店内は大理石と「ゴールド」で高級感を演出
カウンターのデザイン


カウンター部分は大理石。デザインをアールにしたところが大きなこだわりです。店内でInstagram用の写真を撮ったときに映える内装を取り入れました。
ゴールドで高級感を演出
尾野さん:看板の文字や入口の取っ手、室内窓の窓枠など、ゴールドをポイントに使っています。
和室と工房をつなぐ土間の存在
3枚引き戸を開けると開放感あふれる空間に


土間と店舗の間にあるのは3枚引き戸。すべて壁側に引き込むことができるので、開け放つと開放感が広がります。
引き戸や窓側のカウンター、そのほかの建具などは色を合わせて統一感を持たせました。
将来、どんな形でも活用できる土間

工房から見える部分は土間にして、将来どんな展開にも使えるようなスペースにしています。土間は、母屋と小屋だった場所を渡り廊下でつないでいた部分。勾配がとてもきつかったため、どんなレイアウトにするかとても悩みました。
そこで、廻階段とスロープの回遊型にし、少しでも勾配を緩めるためにフロアーラインを下げて、土間+和室を小上がりにしました。
このグリーンの部分は私の手作りです。壁の照明を水面シリーズのものにし、勾配を生かして緩やかなカーブを描いているのは、水が流れるイメージですね。お店の裏に流れる川と緑を、店内に感じていただけるようデザインしています。



トイレは既製品を組み合わせてコストダウン
照明や鏡は丸いデザインのものを採用。カウンターのアールの曲線とのリピーティングを意識しています。

鏡はIKEAのもの。お手頃なインテリアもチェックして、いいものは導入するようにしています。トイレの手洗いスペースはINAXの半オーダー。小さなこだわりで、コストカットを実現しました。
「Focacceria Soni」が完成して
中村様:尾野さんは、こちらがイメージしていた以上の提案をいつもしていただけるので、信頼しています。
「見せる厨房」と「店舗スペースのゾーニング」や、「ゴールドの窓枠」など、尾野さんのご提案から大きな修正や変更もなく、進めていただきました。もとの小屋を知っているので、この変貌ぶりには驚かされました。土間部分も、以前は渡り廊下だったので、とても狭かったんです。こんなに広くなって、驚きました。工房だけにしておくのは、もったいないですね。
2年がかりで進めてきたプロジェクトも無事引き渡しとなり、ほっとしています。本場のフォカッチャ、ぜひ多くの方に試していただきたいです。中村様 ありがとうございました。
