施工事例

京田辺市 S様邸

好き!が詰まった18坪の狭小住宅

-広く見せる工夫をプランからカーテンまでトータルに-

今回のお客様はプランからインテリアまでご依頼を賜った新築のお客様。打合せからお引き渡しまで約一年と長い時間をかけて丁寧にお打ち合わせさせていただいた内容を順にご案内します。

【ヒアリング】

「どんなおうちに住みたいですか」・・・なんて抽象的な言葉でしょう!でも理想を具体化する際に、私は常にこのことを念頭におき、具体的にお伺いします。

1回目の平面プランの打ち合わせ

視覚からの情報を駆使する

大事な家づくりの基本となる打ち合わせです。S様ご家族にとってベストと思われるたたき台をご用意し、良い点・悪い点をご説明しました。

良い点

  1. 1. 明るい明るい2Fリビング
  2. 2. 2Fワンフロアによる広さ確保
  3. 3. 子育てに強い味方の畳コーナー

悪い点

  1. 1. 洗濯動線
  2. 2. 2Fリビングとトイレの関係
  3. 3. 玄関の印象(階段下とシューズクローク)

ファーストプラン【たたき台】を持って説明することは、視覚からの情報で想像力を豊かにし、理解が容易になります。

S様にとっても平面プランをご覧になることで、「リビングが明るいのはいいけれど、それよりも1Fと2Fを行ったり来たりする方が、イヤかも、、」「子供が大きくなったら帰ってきてすぐ個室にこもってしまいそう」など、こちらに要望を伝えやすくなるメリットがあります。

行動を言葉にする

「例えば、ベランダに洗濯物を干すといたします。その場合、1Fと2Fを行き来することになります」など、暮らしを想像していただきやすいように、行動を言葉にして説明します。

行動を言葉にすることで、「S様はどうですか?」と【ご希望の住まい方】をお伺いしていきます。

参加型のプラン作り

ここでS様の洗濯動線に関する今までの暮らし方、不便だったことや、これからの希望をお伺いします。そして、実際に平面図に書き入れていくことで、S様も共に考えていく参加型のプラン作りを進めていきます。

優先順を決める

全てを叶えるプランがベストではありますが、土地の広さ、向きなど制約があるため、現実はそうもいきません。

今回はいろいろお伺いした結果、以下のご要望が明確になりました。

  1. 1. 1階にリビングが欲しい
  2. 2. リビング階段が理想
  3. 3. ダイニングテーブルはしでよいが、キッチンカウンターが欲しい
  4. 4. 1Fにトイレ手洗いが欲しい
  5. 5. オープンクローゼットの中に、カウンターと棚をセットしたい
  6. 6. アイアン物干しバーを寝室につけたい
  7. 7. キッチン食器棚はオーダーにしたい
  8. 8. ファミリークローゼットも欲しい

優先順位をつけて 次回はご要望を盛り込んだプランをお持ちすることとなりました。

2回目以降の具体的な平面プランの打ち合わせ

さあ、2回目の平面プランの打ち合わせです。

きっとS様も楽しみにしてくださっているはず。熟考の結果、ABCの3案お持ちしました。

標準プランとUPプラン

同じ間取りでも、標準プランと間取りの弱い部分をオプションで補うUPプランをご提案しました。

A案・・資金計画の範囲内のプラン

A案UPプラン(オプション)・・ヒアリング時のご要望を考慮したプランに加え、収納の少なさをニッチやオーダー家具で補ったもの

B案・・キッチンより大きなカウンターが欲しいということで、S様の案でキッチンを縦にしたもの

C案・・キッチンからカウンターがでるプランにするため、I型ではなくL型キッチンにしたもの

各プランのメリットデメリットをお伝えし、確認と変更を繰り返して、一緒に仕上げていきます。S様が見てみたいとのご希望があったB案も実際に図面にして説明します。

実際に図面化すると動線の有効寸法が明確になり、ゾーニング打ち合わせ(寸法を書き入れていく打ち合わせ)の時は「大丈夫かな」と思っていたところも、狭いことが分かりました。

メリットデメリットをご説明しながら、S様のご意見ご要望を明確にしていき、ベストなプランを創っていきます。

S様からは「3案も平面プランを作ってもらってありがとうございます。イメージと実際のサイズ感の違いが明確になりました」と家づくりを進める上で、前向きなご感想もいただくことができました。

ご予算を常に意識したプランニング

せっかく時間をかけて打ち合わせしたプランでも、最終的にご予算の都合でオプションだけ外してしまうと、プランそのものをもう一度見直すケースもあります。

今回は、UPプランの棚板からニッチ、引戸の価格なども明確にし、常に全体のご予算を意識しながら打ち合わせを進めます。

ご予算を踏まえてお話を進めることは、S様の安心感にもつながります。結果的にAのUPプランをベースに進めていくことになりました。

お子様連れでも安心の打ち合わせ

S様は小さなお子さまがいらっしゃるのですが、打ち合わせ中は、弊社の高橋社長がお子様と遊んでくれていました。お子さまが楽しく遊んでいる様子を見て、ご両親も安心して打ち合わせに参加していただくことができました。

プランが決まったら

次は、外観の確認です。

ある程度プランが決まれば、同時進行で進めますが、外観は形もさることながら、色も重要な要素となります。

外観のカラー打ち合わせ

プランが決定しますと、家の外観パースが出来上がります。

外観の打ち合わせの進め方を過去のコラムでご紹介していますが、同じ平面図でも、袖壁をつけたり、

ちょっとした配色の違いで、全体のイメージががらりと違います。

https://rakusumu.net/5340/embed#?secret=zMTiOEU1zH#?secret=KrtFrxhKNV

S様邸はご主人様が、「カッコ良すぎるより、白をアクセントにしたブルーの方が、カジュアルなかわいさもあって良い」とおっしゃって、最終的に袖壁あり・サッシの色や化粧破風等は白の配色の案に決定しました。

内観のカラー打ち合わせ

外回りの色が決まったら、次は内観です。

さあ、どこから決めましょうか!

私は、面積が一番大きく、お部屋の印象ががらりと違ってくる床からお伺いします。メインとなるリビングを中心に、床の色を決めましょう。

ですが、その前に・・・・

空間を構成する基本的な考えをお伝えします。

https://youtube.com/watch?v=l6bF82qVjJA%3Fsi%3DzbyDoQKwaltPthW0

空間は3つに分けて考えます

  1. 1. ベース・・・床や壁といった、面積を占めるもの
  2. 2. アクセント・・・彩度の高い色(鮮やかな色合い)は、視界に入る10%までが目安
    (2~3色を選んで、いろいろな箇所に繰り返し(リピート)使用する)
  3. 3. アソート・・・ベースとアクセントのバランスをとるもの
    (ベースと同系色や色相は同一だが彩度明度でバランスをとる)

色決めでは、ベースとなる床と建具、壁紙を決めます。アソートカラ-にあてはまる家具やカーテンは入居後に購入されるケースが多く、タイミングがずれてしまいます。

そうなると、気に入ったものを購入したはずなのに、何だか統一感のない空間になってしまうケースが多いのです。

今回は、「インテリアコーディネーターと創る家」ですので、そういった心配は不要です。

インテリアはバランスが重要なため、部屋を構成する家具配置(レイアウトも)一緒に考え、空間全体をイメージしながら打ち合わせを進めます。

S様邸のレイアウト

お客様の好みを探る=分析する

お好みを聞かれても、「なぜそれがいいと思うのか」は分かりにくいものです。

そこで、S様がご用意くださった写真をたくさん見せていただき、分析していきます。

これを「キービジュアル」の共有といいますが、「キービジュアル」明確なほど、入居後インテリアアイテムを付け足す場合も迷うことがありません。

写真とS様のレイアウトを照らし合わせ、バラバラであればポイント絞っていきます。

  1. 1. キッチン扉はブルーにしたい
  2. 2. キッチン背板側のアクセントクロスもブルーにしたい
  3. 3. 床は明るい方がいい
  4. 4. リビングドアはブルーなど色を変えたい
  5. 5. 置き家具はソファとダイニングチェア程度。ダイニングテーブルはオーダーカウンターにする
  6. 6. ソファの色は床に近い色、もしくは茶系で抑える
  7. 7. 掃出し窓は西日が気になるため、遮光のもの。すっきり見えるアイテムとしてプリーツスクリーンにする
  8. 8. コンパクトな間取りのため、すっきり見えるフォルムを意識する

室内の具体的な色決め内容

全体のイメージが固まったら、具体的に以下のような内容を決めていきます。

  • ● フローリングの色・種類
  • ● 建具(ドア・収納扉)の色、種類
  • ● 巾木・幕板・笠木の色・種類
  • ● 階段・階段手すりの色
  • ● 窓の形の確認と窓台の色
  • ● クロス(ベースクロス・アクセントクロス)

キービジュアルの確認を都度行う

具体的な色決めをする途中で、たびたびキービジュアルの確認をします。

それによって、数あるクロスや建具の中からおのずと決定に導かれていくのです。

今回一番最初にお伺いした床は、一番明るいペール色になりました。
キッチンの扉は標準色の中からブルー系の色を選択。
カウンター下のクロスは比較的彩度の高いブルーになったため、リビングダイニングのアクセントカラーとなっています。

それに加えて、リビングドアをご希望のブルーにすると空間の中に青の配色が多くなり、バランスが悪いため、床と同じペール色となりました。

アイアンの格子入りデザインで、リビングドアの特別感を演出しています。また、このアイアンの黒は、ペンダントレールや椅子等でリピートし、調和を図る予定です。

リビングドア色以外のドアは、木目ホワイトを採用しています。目線の位置にくる色は、壁の色に近い色にすることにより圧迫感を軽減し、廊下や空間を広く見せる効果があります。

色決めと同時期に行うこと

色決めで、空間の配色がある程度イメージできます。

次は、色も踏まえて、実用性の確認をショールームで行います。

ショールームご案内

前回の色決めで、空間の配色はある程度イメージできてきます。ショール―ムでは、色も踏まえて、実用性の確認を行います。

設備ショールーム

バスルーム・キッチン・トイレ機能性と空間との色のバランスを確認します。

家具ショップ

イメージとご予算をふまえて、お勧めの家具ショップをご案内しました。寸法と座り心地を確認しながら決定します。

カーテンショップ

プラン時に西側の大きな窓対策としてお勧めしたプリーツスクリーンの商品確認を行います。メカものなので操作方法なども説明し、カーテンはお好みを伺いながら、アクセントクロスに合う商品を選定。全て予算と空間の色・寸法などを頭に入れつつ、同行します。

照明計画

プランをもとに電気配線計画をします。その際にイメージしやすいよう、カラーの打ち合わせで行った「キービジュアルの共有」を頭にいれつつ、照明器具のプレゼンをご提案。それをもとにお好みやご要望をお伺いし修正します。

修正後のプレゼン

玄関ペンダント・トイレ・洗面・ダイニングペンダントはS様手配となりました。施主様手配で注意したい点は、照明の形・大きさなどによって配線が変わる場合があります。今回はイメージのすり合わせ兼ね、ご相談に応じ、洗面照明などはインテリアコーディネーターからもご提案させていただきました。

オーダー家具のご提案

コンパクトな空間を広く見せるためには、必要最低限のものを効率よくレイアウトすることが鉄則です。そのために間取りや動線と生活スタイルに基づいたオーダー家具をご提案しています。

ダイニングカウンター

S様からのご要望は「家具をできるだけ置きたくない」「ごろんと横になれるソファはほしい」というもの。ダイニングテーブルは置かずにカウンターでお食事をするスタイルにしました。高さと幅、Rの大きさも全てオーダー。図面だけでなく、現場立ち合いでS様の感覚で確認いただき、奥行きは65センチから63センチに変更しています。

キッチンカウンターキャビネット

置きたいもの・入れるものを伺い、寸法と写真で分かりやすくプレゼン。炊飯器はスライドテーブルではなくカウンター上に置き、使用頻度の低いオーブンは棚の中に配置することになりました。

2F廊下カウンターキャビネット

2階の廊下を少し広めにとり、個々の部屋はコンパクトでも、細々したものや、タオルや下着しまえるように計画しました。オーダーアイアンバーを併設し、洗って干し、その場でしまえる、風通りもよい空間となっています。

1F洗面

洗面ボウルは大きめ、水栓レバーは水垂れがボウルの中で収まるデザイン。取手とブラケット照明とタオル掛けがゴールドで統一されているところが、オーダーの利点ですね。

子ども部屋カウンター

本来であればパイプ付き棚のみですが、可動棚と合わせてデスク兼用のカウンターを設置。アクセントクロスが引き立つよう、色は白に統一。それに伴い子ども部屋だけは窓台も白に変更しています。

18坪の間取りを広く見せるポイント

通常、空間の色や寸法・形・動線・生活スタイルなどを頭の中に入れながらお打ち合わせを行いますが、今回は18坪の限られた空間のため、「広く見せる」ということを加えて進めていきました。

間取り

くつろぎ空間と作業空間を分け、くつろぎ空間は家具を最低限にとどめました。各部屋は小さくても、キッチンや2F廊下など動線が込み合う場所は広めに。掃き出し窓は高さをできる限り高いものにしています。

レイアウト

家具を置くスペースを限定しました。オープンキッチンをご希望でしたが、キッチン天板が広くなりリビングが狭くなるため、I型キッチンの腰壁を低く設定しダイニングテーブル兼用カウンターを採用。それにより、キッチンからの視界が広がりました。

収納

動線上に収納や二ッチを配置するなど、動線を短く配慮した間取りに。動きがスムーズになると広く感じます。

カーテン

ドアを開け最初に目に入ってくるものは部屋の印象を左右するため、すっきりと絵を飾っている印象のプレーンシェードに。二重カーテンは部屋内に15~17センチほどヒダが出てくるため、掃き出し窓は窓枠内に収まるプリーツスクリーンをご提案しました。

新生活を楽しみにしてもらえるように

初めて注文住宅を建てられるS様。お打ち合わせ当初は、「分からないので、お任せいたします」と仰っていました。そんなS様には、新生活をイメージしていただけるような言葉がけで、参加型のお打ち合わせを心がけました。また、奥様のこだわりを引き立たせるプラスのご提案で、お引き渡しまでも楽しみにしていただけるようにお打ち合わせを進めました。

隙間二ッチ

「充電用の棚にどうですか?」とご提案したところ、ご主人様専用の二ッチになりました。常夜灯代わりのダウンライトもお気に入りです。

三角開口

奥様が持ってきてくださった写真の一つに、三角開口がありました。照明も最初は写真と同じものを希望されていましたが、「こだわりたい」とのことで、施主様手配に。早い段階で決めてくださったこともあり、奥様が探してくださった照明を引き立てるような色合いとアクセントクロスをコーディネートしています。

外構のストーン

「雨に濡れたらもっとピンクになってきれいですよ」とお伝えしましたら、ご主人様がこれにする!と即答してくださいました。引き渡し時にはにわか雨が降って、いい感じになりました。小さいお子様は石が大好きな子が多いので、入園前のお嬢様も遊んでくれたらいいな。。。

S様にご指名いただき、プランからインテリアコーディネートまで担当させていただきました。
S様はお互いを思いやり、とても暖かいご家族。私もお打ち合わせが本当に楽しく、やりがいを感じるお仕事をさせて頂きました。S様、ありがとうございました。

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